一羽の雀がいました。小さな頭に、立派すぎる「金の冠」をのせられたその姿は、一見すると華やかに見えます。しかし、その重みで雀は自由に飛ぶこともできません――。
これは、タルムードに記された寓話「金の冠をかぶった雀」の一節です。短い言葉ですが、見栄や欲望にとらわれたときに人が失う自由や本質を鋭く突いています。本記事では、この寓話の背景とそこから得られる人生のヒントを紹介します。
”ユダヤ人成功の秘訣”タルムードに学べ!!
ソロモン王というのはユダヤの最も有名な王である。賢者の王は、鷲の背に乗って空を飛び、領国内の隅々まで視察して回ったと言われている。
ある日、ソロモン王が鷲の背の上に乗ってエルサレムからはるか彼方の領国まで目指して飛んでいた時、たまたまソロモン王の体調が悪く鷲の背中に捕まっていられなくなり落ちそうになった。
それを見ていた雀達が何百羽と寄って来て囲いを作りソロモン王が鷲の背中から落ちないように助けた。
これに感謝したソロモン王は、雀達に「お前たち雀に何でも欲しいものをあげよう。」と言った。
雀達は巣に戻り何をもらうかを大議論した。
しかし、それぞれ勝手なことを言って、なかなか一つにまとまらない。
「いつでも身を隠しておけるブドウ畑」
「いつでも水が飲める池」
「いつでも食べ物に困らないように野原に落穂をまいてもらう」
という意見もあった。
そんな中で、ある雀が「ソロモン王と同じような金の王冠を被って飛んだらさぞかし誇らしく格好が良いだろう。」と言ったところ、雀たち全員が「そうだ、そうだ」と賛成し、意見がまとまった。
雀の代表が、ソロモン王のところに行き、「王様と同じ金の冠を雀全員にください。それが私たちの願いです」と申し出た。
それを聞いたソロモン王は「それはあまり良い考えではないな。もう一度考え直してきてはどうか」と助言したが、雀たちは「ぜひ王冠をください」と繰り返した。
「それほど言うなら仕方がない」とソロモン王は雀たちのたっての願いを叶えた。
金の冠をかぶったイスラエルの雀たちは、喜々として大空を飛びまわった。
今まで猟師達は雀などには目もくれなかったが、金の冠をかぶっているために、全国で雀が狩られるようになった。
仲間たちはみんな撃ち殺され、イスラエルの雀はとうとう最後の五羽になってしまった。
最後の5羽は、ソロモン王のところに命からがら駆けつけ、
「私達が間違っていました。金の冠はもういりません。」と言った。
雀から金の冠が取りはずされ、少しずつ雀は平和を取り戻し、何年かのうちにはまた元の数に戻ったということだ。
「金の冠をかぶった雀」から学べる投資の教訓
小さな雀が金の冠をかぶれば、見た目は豪華で立派に映ります。しかし、その重さによって飛べなくなり、本来の自由や生きる力を失ってしまいます。これは投資の世界にも通じる大切な教えです。
投資を始めたばかりの人が、実力や知識以上の大きなリスクを背負ってしまうことは少なくありません。たとえば、いきなりレバレッジの効いた商品に手を出したり、話題株に全資産を投入したりするのは、雀が冠をかぶるようなものです。表面上は「大きなリターンが期待できそう」と見えても、結果的に身動きが取れず、大きな損失につながる危険があります。
投資は、見栄や欲望ではなく、自分の実力や資金状況に合った選択をすることが何より重要です。小さな雀には軽やかに空を飛ぶ自由があるように、投資家も「身の丈に合った投資」を続けることで、長期的な成長と自由な資産形成を実現できます。
つまり、「金の冠をかぶった雀」が私たちに教えてくれるのは――無理な背伸びをせず、コツコツと確実に積み上げることが、最終的な成功につながるというシンプルな真理なのです。
ドバイの大富豪は、みすぼらしい軽トラに乗る。
多くの本をすべて立ち読みで読み込んだ私の結論として、本当の大金持ちは、他者に自らの財産を自慢するようなことをしない。むしろ、お金をちらつかせることなどせず、生活困窮者のような装いをしている人もいます。わざわざお金持ちのオーラを見せないようにトレーニングを積む人もいます。
私の投資家の友人は、億ほどの資産を抱えていますが、財布の中には常に貯めたポイントカードが多くあり、クーポン券や優待券専用のお財布も身に着けているほどです。彼は、投資をすると決めた次の日から節約を心がけるようになり、ポイント投資を始めていた私にアドバイスを聞くなどをして、どんどんと節約にのめりこむようになりました。
このブログを読んでくれたあなたに、今一度確認してください。
周りの友人に残クレまでして買ったアルファードを見せつけている人などはいませんか?そんな友人につられて、あなたも周囲にその財産を見せびらかすような人になっていませんか?今回紹介した金の冠をかぶった雀の話のように弱者が財産を他人に見せびらかすと身を亡ぼすような結果になるかもしれません。
目立たない努力をこつこつと続けること、それが投資の王道であり、基礎であるのです。積み重ねた先にこそ、目に見える資産だけでなく、精神的な豊かさを身に着けることになるでしょう。
まとめ
タルムードの寓話「金の冠をかぶった雀」は、見栄や欲望にとらわれることで本来の自由を失う危うさを示しています。投資においても同じで、レバレッジ取引や話題株への集中投資など、背伸びした選択は一見華やかに見えても、大きなリスクを抱え身動きが取れなくなる危険があります。
真の資産形成とは、見せびらかすことではなく、身の丈に合った投資をコツコツ積み重ねることにあります。実際、大富豪や成功した投資家ほど質素に暮らし、目立たぬ努力を続けています。見栄ではなく堅実な積立と節約の積み重ねこそが、豊かな未来と精神的な余裕をもたらすのです。
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