グロース(成長)株とバリュー(割安)株の銘柄選び、注目すべきポイントの違い
株式投資には様々な戦略がありますが、大きく分けると「グロース株投資」と「バリュー株投資」という二つの代表的なスタイルがあります。
- グロース投資:今後の収益成長が大きく見込まれる企業に投資するスタイル
- バリュー投資:本来の企業価値よりも株価が割安と判断される企業に投資するスタイル
どちらも「将来の利益を現在の価値に割り戻す」という考え方では同じですが、実際に銘柄を選ぶときに注目すべきポイントが大きく異なります。ここではそれぞれの違いと、実際の銘柄選びに役立つ視点を掘り下げていきます。
グロース株投資で注目すべきポイント
グロース株は、市場平均を上回る成長を期待される企業です。たとえば米国の「テスラ」や「アマゾン」、日本でいえば「メルカリ」「ソフトバンクグループ」などが典型例です。
注目ポイントは以下の通りです。
- 売上高の成長スピード
過去数年の売上高成長率が10〜30%を超えている企業は要注目です。たとえばクラウドやAI関連の企業は、毎年二桁成長を続けるケースが多く見られます。 - 市場のポテンシャル
成長余地が大きい市場かどうか。電気自動車、再生可能エネルギー、AIなどは拡大市場として投資家の注目を集めています。 - 持続的成長のリソース
資金調達力、人材の確保、他社との提携力など。スタートアップ企業の場合、資金調達が途絶えると成長が止まるリスクがあります。 - 競合優位性
独自の技術やブランド力、規模の経済を持つかどうか。アップルがiPhoneで築いた「エコシステム」はその典型例です。
グロース株の特徴とリスク
グロース株は将来の利益に期待して買われるため、株価収益率(PER)が高いのが特徴です。
たとえば市場平均がPER15倍だとしても、グロース株は30倍以上で取引されることがあります。
そのため、少しでも成長鈍化の兆しが見えると、株価が急落するリスクもあります。2022年に米国のハイテク株が大きく下落したのはその典型例です。
つまり、グロース株に投資する場合は「将来の成長シナリオ」が崩れないかどうかを常に確認する必要があります。
バリュー株投資で注目すべきポイント
一方のバリュー株は、市場から過小評価されている企業です。成長性は低いものの、安定した事業や資産を持ち「割安に放置」されているケースが多いです。
バリュー株を見るポイント
- 事業の持続可能性
成長は乏しくても、生活必需品やインフラなど「なくならない事業」を持っているか。たとえば食品メーカーや電力会社などが挙げられます。 - 資産内容
現預金や不動産、子会社株式など、企業が持つ純資産の価値。解散価値に比べて株価が安ければ投資妙味があります。 - 財務の健全性
自己資本比率やキャッシュフローが安定しているか。財務体質が強い企業は不況でも持ちこたえやすいです。
最近の潮流:バリュー株見直しの動き
2023年、東京証券取引所が「PBR1倍割れ企業」に改善を求めたことで、バリュー株に注目が集まりました。
これを受けて株主還元を強化する企業も増えており、アクティビストの圧力で配当や自社株買いを行うケースも目立ちます。
たとえば、親子上場解消に伴うTOB(株式公開買付け)で株価が急騰する事例もありました。地味に見えるバリュー株が大化けする瞬間は、このような「経営改革」がきっかけになることが多いのです。
銘柄発掘のアプローチ
では、投資対象をどうやって探すのか。
昔は新聞や株価チャートを眺めながら候補を探すのが一般的でしたが、今では スクリーニングツールやAI の利用が主流になりつつあります。
スクリーニングの活用
たとえば「売上高成長率20%以上かつROE15%以上」と条件を設定すれば、数千社から一気に候補を絞り込めます。
- グロース株なら「売上高成長率」「営業利益率」「ROE」などを重視
- バリュー株なら「配当利回り」「PBR」「ネットキャッシュ比率」などを重視
注意点は、絞り込みすぎないこと。最初は50社前後に絞り込み、その後に一社ずつ丁寧に調べるのが理想です。
AIの可能性
最近ではChatGPTなどを使って「この企業の競合はどこ?」と調べたり、「PERが低い業界上位5社をリスト化」なども簡単にできます。
実際、私自身もAIに銘柄スクリーニングをさせ、出てきた候補を財務諸表で再確認するという方法を取り入れています。
今後はAIが分析を補助し、投資家は「意思決定」に集中できる時代が来るかもしれません。
まとめ:自分に合った投資スタイルを選ぶ
グロース株は「未来にかける投資」、バリュー株は「現在の割安を拾う投資」と言えます。
どちらが正しいというわけではなく、投資家の性格や目的によって向き不向きがあります。
- 短期間で大きな成長を狙いたい → グロース株
- 着実に資産を守りながら増やしたい → バリュー株
重要なのは、自分のリスク許容度を理解し、戦略をぶらさずに継続することです。
どんな銘柄を選ぶにしても、「企業価値を理解し、自分で納得して投資する」 という姿勢が成功の第一歩となります。
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